領主の奥方と白い馬

ジャパンメディカル何とか、という専門学校のようなところだったと思う。
人のオーラを見たり、その人の背景を読んだり、意識に潜入する、というような、FBI超能力捜査官マクモニーグルみたいな人を育てる学校。生徒の練習のための被験者がほしい、と言われ、行ったことがある。
その時のこと。まあ、話半分に聞いてほしいが、私も特別にそういう種類の超能力に興味があって行ったわけではない。でも一時、そういうスピリチュアルなことを好む友達が何人か周りにいた時期がある。

人間の霊的成長の度合い、午後六時半(これは、人間的成長を一日の時間に換算して計る。だから午後六時半は、まあ成熟している方である。)
オーラはこれこれ(と何色もある)。
頭の上のほうに図書館と本が見える。

(そう言われてまったくハズレの人はいないかもしれない。言われたことは、自分の中で解釈するので、どれも当たりとなるのでは、といつも思っている)。

あなたは何度も転生しているけれど、男だった時より女であった時の方が実力を発揮している。

男の時、古い時代の宗教的な祀りに参加してポールの回りをグルグル回っているのが見える。

中世の領主の奥方でもあったようだ。そばに白い馬がぴったりとついている。あなたと白馬は強い気持ちの繋がりを持っているようだ。

いくらかは私の生活を覗き見る力があるのかもしれない。スピリチュアル女子大生が部屋の配置やソファーの模様、玄関の置物を言い当てて、見てもらう人がうろたえて顔色を変えるような場面があるが、人の周りにはもののエネルギーがまとわりついているのかもしれない。

白い馬が寄り添っていると言われた時、イワンのことが思い浮かんだ。
そりゃ馬じゃなくて猫ではないか、と。

私の周りに本と白い動物。透視としては、ハズレとは言えないかもしれない。

どこから来たのかも分からず、保健所まで手を広げて飼い主を探しても見つからず、またその猫を知っているという人も、どこかで見たという人もいない。
毎晩ぴったりと私に寄り添って眠る。恩義を感じ忠誠を誓っているようにも思える。
寝るよ、と声をかけると、寄ってきて、枕の端に手をかけ、顎を乗せて、眠る。朝は勝手に起きて動き回るのではない。私が目覚め、起き上がるまで、ずっと枕元で従者のように侍っている。忠実な僕、イワン。

いつの日か、イワンの周りからモクモクと白い煙が上り、長い杖を持った長いあごひげのお爺さんが現れ、
「台風で困っていた私に一晩の宿を貸してくれただけでなく、その後も、愛情をかけて家族にしてくれた、あんたはよいことをなさったじゃ・・・」
とか言って、金の斧をあげよう、は嘘だけれど、いつの日か猫じゃなくなるのではないか、私は試されているのではないか、という気持ちは持っていた。

白い馬がよりそっていると聞いて、それがイワンの生まれ変わる前の姿かもしれぬ、と、もしかしたらそうだったかもしれない昔を思い、想像をたくましくしてみた。
領主の奥方ね、悪くない。